網野禎昭先生「ヨーロッパの多層階木造集合住宅」研修会
多層階木造集合住宅で町おこし

ヨーロッパでは、近年、街中に大型の木造耐火建築の多層階集合住宅が多くなっています。
オイルショック以後、エコロジーや省エネルギーで循環できる大量な自己資源の森林の木材を、コンクリートや鉄筋の代わりに、バイオマス燃料としての研究や実績が進んでおります。
現代の大型木造建築が進んでいる国はオーストリア、スイス、スウェーデンと考えますが、その中でオーストリアは日本の木材の輸入先の国別ではトップクラスで馴染みもあり、ウイーン工科大学は木造建築の研究が盛んで、デザイン、構法、構造、法規、耐火、音響、生産、建築物理学など一体な研究・実戦・教育がなされています。
網野先生はそのウイーン工科大学で今年の3月まで研究・教育に携わり、私どもは世界の最新鋭、最先端の木造建築のお話を聞けます。

網野禎昭先生より

集住の木造―欧州の事例から中層木造のあり方を考える

集合住宅を中心に、オフィスビルや校舎として、近年欧州では様々な木造中層建築が実現されています。

一般に建築の多層化は高密度な土地利用の結果と考えられますが、欧州では都市といわず郊外といわず、すでに何世紀も前に多層木造の建設が行われています。それらは寒冷な気候や森林文化を反映した集住の伝統と言えるものです。現代欧州の中層木造は、このような歴史を下敷きとしており、伝統が培った集住の知恵を新しい木造技術で現代に活かす試みと言うことができそうです。

能代もまた、豊かな森林に恵まれた寒冷な土地柄です。本講では、欧州での先端的な事例と歴史的な事例を織り交ぜながら、中層木造の意義、特に能代を初めとする地方都市や郊外などの非密集地でのあり方について考えてみます。限られた土地の高度利用だけではない、より積極的な集住の利点や可能性に触れようと思います。

また後半では中層木造の合理性について実務的な観点からの発表を予定します。地震国日本では木造建築が構造技術の点から語られることが多いのですが、環境意識の高まりに鑑みれば、木造建築により総合的な視点が必要だと感じています。用途・環境・構造・施工などの諸側面を横断するかたちで中層木造の設計について時間を割き、その後、参加者の皆様からご意見をいただければ幸甚です。

網野禎昭先生「ヨーロッパの多層階木造集合住宅」研修会のお知らせ